今回はカヌーのお話しです。私が主に釣りに使っているカヌーは、全長4.2メートル程のもので船体が二重底になっており、万が一ひっくり返っても自力で再乗艇がし易い構造になっています。
カヌーには、もちろんエンジンなどの動力は一切付いていないので両手でオールを持って自分の力だけで漕ぐのですが、船体が細いので意外とスピードが出ます。自転車ほどではありませんが、歩くよりは速いです。
一番の魅力は、音が静かで風や波をダイレクトに感じることができることです。また、運動にもなり、体脂肪を燃やすには好都合です。 カヌーに乗ると目線が水面に近く、自然との一体感を感じることができます。海に出ると波やうねりがあり、波間に入ると岸が見えなくなることさえあります。
とはいえ、ホントに小さなフネなので絶えず沖合いの波の状況や風の動きなど気候の変化に気をつけながら操作しなければなりません。風が出てきて波やうねりが大きくなりだしたら、直ちに釣りを止めて急いで港へ避難します。 必ずライフジャケットを着用し、足元にはシーナイフ(絡みついたロープを切ったり、魚を捌いたりします)をバンドで縛りつけ、万が一の事態となっても慌てない心構えが必要です。
防水型の携帯電話を必ずライフジャケットのポケットに入れておき地震警報が聞こえるようにしています。このような緊張感は日常では味わえないもので、アウトドアの魅力の一つでもあります。
話は変わって、税金のお話しです。前回お約束した相続税対策についてですが、この一か月の間に、国会での相続税の増税の話はなくなりました。先日野田政権が与野党合意で修正した「社会保障と税の一体改革法案」では、消費税の税率アップが決まりましたが相続税の基礎控除の引き下げ等の法案は取り下げられた模様です。したがって来年は相続税の増税はないと思います。
ところで、総務省の調査によりますと、日本における個人保有の金融資産(預貯金、国債・株式等の有価証券、保険等)1,500兆円のうち60歳以上の高齢者世代が保有している割合は60%超となっています。また、40歳以下の世代では、僅か18%弱しか保有していないとのことであり、世帯主の年齢が60歳以上の世帯が保有する金融資産の平均は約2,000万円となっているそうです。これらの調査からわかることは、高齢者の方に多くの金融資産が偏在し、勤労世代は使えるお金を僅かしか持っていないということです。
こうした情勢を踏まえ、高齢者世代から若年世代へ財産を移転するのを促進する税制が組まれています。「相続時精算課税」という特例で、65歳以上の親から20歳以上の子へ財産を贈与した場合、2,500万円までの贈与財産に対して贈与税を課税しないというものです。この特例は、年齢制限など一定の要件が定められており選択制となっています。この特例を選択しない場合は、贈与に関しては贈与税の基礎控除の110万円しか控除がありません。
この特例を選択すると、親から子への贈与に関しては贈与財産の種類を問わず、何年かに分けて贈与しても計2,500万円までは贈与税がかかりません。気を付けなければならないのは、この特例により贈与した財産は、将来その贈与者がなくなった場合にはその贈与者の相続財産に加算して相続税の計算を行うという点です。次回はもう少しこの特例について解説します。