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その19(りらく2012年9月号)

アウトドア派「税理士」大藤正樹のひとりごと

 

早池峰山

先日妻と二人で登山とキャンプに出かけてきました。登った山は岩手県の早池峰山です。

ハヤチネウスユキソウ

さすが「花の百名山」に数えられるだけあり、登山道の至る所がお花畑となっており、有名なハヤチネウスユキソウにも出会うことができました。

広々したキャンプサイト

下山後、車で移動して秋田県との県境近くの湯田温泉にある焼地台キャンプ場にテントを張りました。脇を流れる和賀川に架かる吊橋を渡ると公衆温泉があり、山登りでかいた汗を流すことができます。このキャンプ場は広々しており、大きなタープ(=天幕)を張ることができます。テントの上を覆うタープがあると、夏の強い日差しや少々の雨が降っても快適にアウトドアライフを楽しむことができます。

焚き火で調理中

タープの下にキャンバスチェアやテーブル、焚き火台等を広げ、食事をしたり、お酒を飲みながらゆっくりと語らうのは何よりの楽しみです。山で見た花のこと、日頃あまりできないよもやま話しなどをしているうちにいつの間にかキャンプサイトの夜も更けていきます。私たちの周りでもあちらこちらのテントサイトで親子、友人達が楽しそうに語らう声が聞こえてきます。

ここでは都会では味わえない穏やかな時間がゆっくりと流れていきます。


変わって、税金のお話しです。今回は、相続時精算課税制度について少し詳しくご説明したいと思います。

65歳以上の親から20歳以上(年齢は贈与の年の1月1日現在で判定)の子(子が亡くなっているときには20歳以上の孫を含みます)への生前贈与について、この制度を選択すると、その親から受けた贈与財産のうち、2,500万円までの金額に関しては贈与税が課税されないというものです。この「相続時精算課税」の特例を選択すると、親から子への贈与に関しては贈与財産の種類を問わず、何年かに分けて贈与しても計2,500万円までは贈与税がかかりませんので、贈与税の110万円の基礎控除を活用する生前贈与よりも、より多くの財産を余り時間をかけないで親から子へ贈与することができます。また、この特例を選択後、2,500万円を越えてその親から贈与を受けた場合でも、その超えた部分に関しては20%贈与税の税率が適用され、通常の贈与税の累進税率(最低10%、最高50%)の適用はありません。

ただし、この特例をいったん選択すると、その親から子への贈与に関してはこの贈与税の基礎控除額110万円の方は使えなくなります。また、この特例により贈与した財産は、将来贈与者である親が亡くなった場合には、相続財産に加算して相続税の計算を行うことになります。「精算課税」という意味は、この点にあります。つまり、この特例により生前贈与しても相続税の課税対象からは外れないということです。もっとも、将来相続が発生した場合、その親が亡くなった時点における相続財産とこの特例により生前に贈与を受けた財産の合計額が相続税の基礎控除額(5,000万円+1,000万円×相続人の数)を超えない場合は、相続税はかからないことになりますので、生前贈与を実施する時点であらかじめ贈与者である親の財産の総額を調べておき、その額が相続税の基礎控除を超えないのであれば、安心して生前贈与を行うことができます。

将来自分が亡くなった後のことに関しては、遺言書を書いておく方法が考えられますが、実際には難しいようで、結局遺言書を書かないで亡くなる方の方が多いのが現状です。元気なうちに子供たちへ承継できるものはあらかじめ生前贈与で承継しておくのもこの時代必要なことだと思います。

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