桜も過ぎ、5月ともなりますと山は山菜の季節です。私は渓流釣りのついでに家で食べる分しか採取しないのですが、釣りの方が不漁でも山菜はまず間違いなく出てきているのでお土産に事欠くことはありません。
渓流の斜面によく群生しているのがミズです。ライトグリーンの鮮やかな葉っぱが薄暗い渓流の斜面に映えています。ミズは、秋になると実を付け、これを茹でて食べるのは一般に知られていますが、葉っぱも天ぷらにして食べることができます。
コゴミも渓流沿いの平らな場所でよく見かける山菜です。渓流の中州などにも生えており、これを見つけると釣りの方は一時中断しコゴミ採りに熱中することになります。一株に何本かまとまって生えているのですが、全部は摘まずに数本残しておきます。こうすることで、その株はその後残りの芽を伸ばして元気に生育し、翌年また芽を出してくれるのです。これは、私の山菜採りの師匠から教わった掟です。
渓流から少し離れた雑木林の斜面によく生えているのがカタクリです。その可憐な姿を見ると、とても採って食べようという気持ちにはならないのが普通でしょうが、葉っぱではなくこの可憐な花の方を摘み取り、サッと茹でておひたしのようにして食べます。カタクリの花は、淡い紫色がかったピンク色ですが、茹でると濃い紫色になり、色を味わう山菜です。カタクリは多年草で、花を摘んでも翌年またちゃんと花を咲かせます。念の為。
自分が食べる分だけの山の幸をいただき、これらを肴に盃を傾ければ、程よい疲労感と相まって身も心もまさに幸せな気分です。
ところで、今度は税金の話です。みなさんは「ふるさと納税」という制度をご存知でしょうか?サラリーマンの方や商売をなさっている個人の方は、収入に応じて所得税と個人住民税を負担しています。年金を受給されている方の中にも一定額以上の収入のある方は所得税と住民税を負担しています。所得税は国の、住民税は県と市町村の税収となります。このうち住民税は、ご自分がお住まいになられている地元の県と市町村に納めることになるのですが、現在は住んでいない遠く離れた生まれ故郷や住んだ経験のない市町村にもご自分の判断で住民税を納めることができるようになっています。それが「ふるさと納税」という制度です。
「ふるさと納税」は、具体的には希望する市町村へお金を「寄付」をすることにより、ご自分が住んでいる市町村の住民税と所得税がその分(厳密には2千円を超えた分)安くなり、結果として寄付をした他の市町村へ安くなった税金分が行く、という仕組みです。例えば、年収7百万円の給与収入のある方が「ふるさと納税」の制度を使って他の市町村へ3万円寄付すると、所得税とご自分の地元の県・市町村の住民税が2万8千円安くなり、結果として所得税と地元の県・市町村の住民税の一部を他の市町村へ納税したことになるというものです。
納める住民税の総額は、ふるさと納税しない場合と比べて2千円だけ多くなりますが、寄付をした先の市町村によっては、寄付をしたお礼にご当地の特産品をプレゼントしてくれるなど、特典がついてくるところもあります。
この「ふるさと納税」は、平成24年で130億円、その前の年の震災のあった平成23年は何と649億円もの額にのぼっています。その多くは被災地の市町村に納められているものと思われます。