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その40(りらく2014年7月号)
渓流沿いのミズ

 5月下旬から入梅前の6月上旬にかけては天候も安定し、アウトドアを楽しむには最も快適な季節です。山は新緑で覆われ、清清しい雰囲気に溢れています。そんな時期でも東北の山々は残雪に覆われ、森林限界付近では、青空の下、新緑と残雪とのコントラストが見事です。
 本州の真上に移動性の高気圧の中心が来た6月のはじめの土日、車にキャンプ道具とスキーのセット一式を積んで、鳥海山に向かいました。この時期は土日でも何かと行事があってなかなか二日続けての休みが取れないのですが、幸い今年は予定が入らず、天気予報も昇り坂とあっては出かけないわけに参りません。土曜日の朝、目が覚めると、予報通りの快晴です。現地の予報も晴れ。高鳴る気持ちを抑えて鳥海山を目指します。
 鳥海山は、出羽富士とも呼ばれ、福島の燧ヶ岳(ひうちがたけ)に次いで東北の山では2番目に高い山です。いわゆる独立峰で裾野が広く、冬場の降雪も半端でなく、毎年10月まで雪が残っていて、その気になれば紅葉のシーズンまでスキーを楽しむことができます。

コゴミ 今回は、鳥海山の北東側の祓川(はらいかわ)ヒュッテ付近まで車で上り、頂上は目指さずにブナの新緑に覆われたその山裾の中腹をスキーでのんびりハイクしながら、適当な斜面を見つけて滑るのが目的です。鳥海山は中腹から上は未だたっぷり雪が残っています。夏場はブッシュに覆われ、登山者でも森の中に分け入ることはできませんが、雪さえあればスキーを履いて自在にブナの森を闊歩することができます。木々の下にはブナの実の殻や冬の間新芽を包みこんでいた茶色の冬芽がたくさん落ちていて、ここがブナの森であることを教えてくれます。

カタクリ 快晴の空の下、さすがにしばらく歩いていると汗が体中から噴出してきますが、木陰でしばらく休めば、すぐに汗もどこかに飛んでいってくれます。ブナの森を気の赴くまま徘徊した後、お気に入りの斜面を見つけ、登っては滑ることを繰り返します。リフトで昇るのと違い、自分の脚力だけで登るので一本一本大事に滑り降ります。斜面の上まで登り詰め、一呼吸入れてから、大地の引力に身を任せ急な斜面を一気に滑り降りれば、体全体が爽やかな風につつまれ、身も心も天空を舞う気分です。


 さて、税金の話です。前回、前々回とふるさと納税についてご紹介させていただきましたが、これに関連したお話をもう一つ。ふるさと納税の制度は、個人の方がご自分が納める所得税や住民税を現在お住まいの市町村以外の市町村にご自分の意思で納めるというものですが、結果として都市部に集中する税収を他の地域の自治体に再分配するという機能を有しています。
 今年の税制改正で、国も税収の都市部への偏在を解決する方法として「地方法人税」という税制を新たに創設しています。以前より法人税や所得税として徴収した国税の一部を地方交付税として一定の基準で地方自治体に分配する制度はあったのですが、人口の都市部への集中と地方の過疎化がますます進む中で、これまでの制度ではなかなかこの問題を根本から解決することができないでいました。

 これは、法人税の一部を「地方法人税」として国に納税してもらい、国が地方交付税の追加分として各自治体へ配分する制度です。企業が納める法人税の総額は変えずに、その一部を直接地方交付税の財源として確保するものです。これにより、これまでよりも地方交付税の総額が増加して税収不足に悩む各地方自治体の財政が多少でも改善されることを期待したいものです。
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