今年も残すところあと僅かとなりました。仙台市内から見える蔵王の山々はとうに白い雪を被っています。そうなる前の11月は小春日和の日曜日、自宅から30分余りの釜房湖へワカサギ釣りに行って参りました。
ワカサギ釣りといいますと、氷が厚く張った湖面に穴を開けて釣り糸を垂らす「穴釣り」をイメージされる方も多いと思いますが、今は未だ氷も張っておらず、私の場合はカヌーを持ち込み、ポイントをあちらこちらと探りながらワカサギを追い求めます。ワカサギは長さ6~7センチほどの小さな魚ですが、透き通るようにきれいな魚体と釣竿に伝わる何ともいえない微妙なアタリが魅力です。また、から揚げや天ぷらにするととてもとてもおいしいお魚です。
先シーズンまでは、ダムサイトの上から釣ることができたのですが、今シーズンは工事が入りダムサイト周りでの釣は禁止です。幸いカヌーなどの動力を持たない小舟は、ダム管理事務所へ事前に申請しておけば利用可能ですので、釜房湖では船上からの釣が楽しめます。
自宅からひとっ走りで到着。早速カヌーを車から降ろして湖上に出てみますと、近くには釜房山、遠くには先日歩いた蔵王連峰の山並みを見ることができ、風景もまた格別です。
また、一昨年あたりから東北大ボート部の競艇用の細長いボートが練習のためたくさん出ており、最近は湖面も賑やかです。聞けば震災で岩沼の貞山掘にあった部の施設が津波により流され、釜房湖に移ってきたそうです。競艇用のボートは私のカヌーよりも更に細長く、スピードも人力とは思えない程の速さです。そんな風景を遠めに見ながら、この日は一日、今晩の酒の肴を確保すべくワカサギの群れを追い求めたのでした。
話は変わって税金のお話です。今回は贈与に関する事例と注意すべき点についてお話ししたいと思います。先ずは現金の贈与です。前回ご紹介したように贈与税は、受贈者(贈与を受けた方)一人当たり年110万円の基礎控除があり、毎年1月から12月までの1年間に贈与を受けた額の合計額がこの基礎控除額以下の場合は、贈与税が課税されませんし、贈与税の申告も不要です。この基礎控除額を利用して現金の贈与を行っている方も最近は少なくないようです。これも以前ご紹介したことがありますが、夫婦間や家族間で生活費や教育費等に充てるため、その都度行う金銭の贈与は非課税扱いとなっており、そもそも贈与税の課税対象とはなりません。しかし、ある程度のまとまった金額を夫婦間でやり取りした場合は、どうなるのでしょうか?
例えば夫名義の預金口座から妻名義の預金口座へ200万円振り込んだとしたら? その後妻がそのお金を生活費等に充てて使った場合は問題ありません。仮に、その200万円を全く使わないまま、夫が亡くなってしまった場合はどうなるのでしょうか? この場合は、妻が夫から貰ったものなのか、一時的に夫から借りたものなのか判然としません。夫から妻の口座へ200万円を振り込んだ時点で、夫婦間で贈与の契約をし、その契約書を保存しておけば妻が夫から貰ったことは明確ですが、そういう事例は実際には少ないです。このような場合、通常は「名義預金」とされ、妻名義の預金であっても夫の財産に認定される可能性が高いです。したがって、きちんと贈与したものなのか貸したものなのか書面で残しておくことが肝要です。
また、この事例では110万円の基礎控除額を超えていますので贈与されたものである場合は、その贈与を受けた年の翌年3月15日までに受贈者である妻が贈与税の申告を行い、贈与税(9万円)を納税しなければなりません。贈与税の申告をしていなくても贈与の事実は明白ですからこれを否定されることはありませんが、その後相続税の調査等で過去の夫婦間でのやり取りが明らかとなった場合は、贈与税の他に延滞税や無申告加算税等が追徴されることになりますので注意が必要です。
このような事例は、夫婦間に限ったことではなく親子間や兄弟・祖父母と孫との贈与でも同様です。次回は生前贈与の積極的な活用についてご紹介します。