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その51(りらく2015年5月号)
スキーを履いて

 

私の住んでいる仙台市内も若葉の季節となりました。いよいよ本格的な渓流釣りシーズンのはじまりです。今回は、芽吹き前の4月初旬、船形山方面への初釣行のお話です。
宮城県の渓流釣の解禁はどこも大抵4月となっており、私を含め釣公房達は、待ちかねたように早春の渓へと向かいます。自ずと4月最初の土日は渓魚を求めて我先にとポイントに集中することになります。
渓流釣は、一ヶ所には止まらずに下流から上流へとポイントを探りながら移動して釣るので、釣師の間では、先行者がいる場合、その一帯には他の釣り人は入らないという暗黙のルールがあります。
前の晩遅く帰宅したので、朝起きると既に外は明るくなっていました。渓流に着く頃には既に好ポイントに釣師が入っていることでしょう。でも、大丈夫。釣道具の他にスキーのセットも車に積んで、いざ出発。

早春の渓 案の定、渓流沿いの道端には釣師のものとおぼしき車が所々に停まっています。どんどん上流へと進んで、結局雪で通行止めのところまで来てしまいました。こうなると、スキーの出番です。釣道具一式が入ったザックを背負いスキーを履いて、釣師とおぼしき方の足跡が見当たらなくなるまで、林の中を登っていきます。

 先行者の邪魔にならないよう、しばらく先に進んでから、スキーの板を脱いで渓流に降り立ちます。辺りは未だ雪解けが本格化しておらず、フライ(毛鉤)を流すには丁度良い流量です。枝掛かりしないよう、慎重に竿を振ります。竿がしなる感覚が数ヶ月ぶりに腕に蘇ってきます。

山女 何投目かで魚がフライに襲いかかりました。岩魚か山女(ヤマメ)のようです。緊張の一瞬です。一呼吸置いて合わせを喰らわせるとうまく魚が掛かったようです。慎重にラインをたぐり寄せて掛かった魚を取り込みます。よく見ると岩魚ではなく山女です。陽光の乏しい渓谷で越冬した渓魚の魚体は未だ少し黒ずんでいますが、パーマークと呼ばれる山女特有の楕円形の模様が魚体に並んでいます。それを眺め写真を撮ってから慎重に針を外し、流れの緩くなっている水面に放してやります。
今日の釣果はこの一匹だけでしたが、初釣行で山女に出会えるとは思ってもいませんでした。この一匹で十分満足です。再びスキーを履いて、今度は林間の斜面を滑り降ります。渓流釣とスキーの両方を楽しめた一日となりました。


 それでは、次に税金のお話です。前回まで相続税対策としての即効性のある生前贈与の方法をお話しして参りました。今回は配偶者以外の方への生前贈与で、贈与者が3年以内に亡くなった場合でも生前贈与加算がない取り扱いについての二つ目の特例です。それは、祖父母や親から一括贈与を受けた教育資金の非課税特例です。
 その内容は、子ども(又は孫)に教育資金を一括贈与すると、1人あたり1500万円まで贈与税が非課税になるという取り扱いです。具体的には直接現金を子や孫に贈与するのではなく、信託銀行など金融機関に専用の口座を作って、その口座から引き出して教育資金に使った分が非課税となるというものです。なお、贈与者が死亡した場合、未使用の教育資金残高は贈与税の課税対象となりますので注意が必要です。また、その贈与を受けた子どもや孫が30才に達するまでに使いきれなかった場合も、その使いきれなかった分に対して贈与税がかかりますのでご留意願います。

 この教育資金の贈与の特例も、3年以内の生前贈与加算の対象とならない贈与ですので、相続税の基礎控除額の引下げに伴い相続税が課税されそうな方にとっては、即効性のある節税対策となります。前号でご紹介した住宅取得等資金の贈与の特例と併せ、活用を検討されてはいかがでしょうか。

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