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その58(りらく2015年12月号)
十和田湖畔

 今年もあと僅かとなりました。私事ですが、一年間大きなトラブルに遭うことも無く、海・山・川、それぞれのフィールドで自然との対話を楽しむことができたのは幸いでした。運もありますが、行動計画、装備、現地の天候等の情報収集など、事前の十分な準備と「無理はしない」という、自分自身に対する「戒め」を守ることができた点が大きかったと思います。自然は、時として人間に対して牙をむいてくる存在でもあるので、この自分自身に対する「戒め」は常に心がけておく必要があります。

渓流の釣 今年最後のアウトドアのお話は、紅葉シーズン真っ只中のシルバーウィークでのポタリング(自転車散歩)です。メンバーはいずれも同世代の仲間4名で、福島市内を流れる荒川沿いの小道をゆっくりと、周りの景色を眺めながら、おしゃべりしながらのポタリングとなりました。この小道は車両進入禁止となっており、ポタリングにはうってつけのコースです。ジョギングよりは少し速い位のスピードで走ると、周りの景色が程よいテンポで流れ、飽きることがありません。また、自転車ですと行動半径も広がります。荒川の上流の先には、吾妻連峰の山々が快晴の空にくっきりとスカイラインを描いていました。

皆で夕食 お散歩の後は、河原のキャンプ場でのデイキャンプです。キャンバスチェアとテーブル、それに食材と七輪を持ち込んでのランチを楽しみました。メニューは焼肉と豚しゃぶ。豚しゃぶは、お湯さえ沸かせば、簡単に食べることが出来るので、ランチにはうってつけです。皆で「しゃぶ、しゃぶ、しゃぶ」と言いながら会話も弾みます。真っ青な秋空の下、爽やかな風と川のせせらぎを感じての一日となりました。


 さて、今回も引き続き「家族信託」についてもう少し詳しくお話ししてみたいと思います。不動産をお持ちの場合に、家族信託契約においてその不動産を信託財産とし、その受託者を妻や子にしておくと、信託契約と同時にその不動産の名義が受託者である妻や子の名義となり、その不動産自体は相続が発生しても遺産分割の対象とならないことを前回お話ししました。もう少し詳しく説明しますと、不動産に限らず信託の対象となった財産は、受託者の名義となります。そして、不動産の場合、その名義は登記の対象となりますので、実際には信託契約に基づいて信託の登記をすることになります。この登記を行うことにより、その土地の名義上の所有者として受託者である妻や子の名前がその土地の登記簿に記載されることになります。
 なお、これも前回お話ししましたが、信託財産から得られる利益を受ける権利(信託受益権)は受益者にありますので、受益者を委託者(この場合は信託財産である不動産の前所有者)と同一にすれば、その不動産から得られる利益(家賃収入等)は、引き続き委託者である前所有名義人が受けることになります。受益者を委託者以外の方にすることも可能ですが、この場合は信託受益権を委託者から受益者に贈与したことになり、贈与税の課税対象となるので注意が必要です。
 そして将来、委託者がお亡くなりになり相続が発生した場合は、この不動産自体は相続の対象にはならず、信託契約に基づく信託受益権のみが相続の対象となります。信託受益権の相続税評価は、不動産の評価額と同じ額になります。したがって、相続税や贈与税の課税上の評価額は、不動産自体でも信託受益権でも変わらないものとなり、信託においては節税のメリットもデメリットもありませんが、老後の財産管理や遺言に代わる円滑な財産の承継手段として極めて有効な方法であると言えます。次回も、信託の具体的な活用事例についてお話ししてみたいと思います。

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