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その59(りらく2016年1月号)
 新しい年がやってきました。今年は、災害の少ない穏やかな一年であって欲しいものです。十和田湖畔

  今年最初のアウトドアのお話は登山です。登ったのは山形県の村山にそびえる葉山。仙台から笹谷峠や関山峠を越えて、山形県に入ってしばらく行くと最初に目に入ってくる山塊です。
お天気にさえ恵まれれば、冬枯れの木々の間から、遠望のきいた周りの山々の風景を楽しむことができるので、私はこの時期の山歩きも好きです。また、紅葉狩りやキノコ採りのシーズンも終わり、静かな山の佇まいを味わうことができるのもこの時期ならではです。

渓流の釣 11月の連休の中日、お天気は快晴で、葉山の南側にある畑登山口から山頂を目指します。葉山の標高は1462メートルでそれほど高い山ではありませんが、途中「小僧森」「大増森」という小さなピークが連なり、山頂の先には「奥の院」という立派なお社があったりして、変化に富んだ山歩きを楽しむことができます。

皆で夕食 樹林帯を抜け尾根に出ると、木々の間からお隣の月山を間近に見ることができました。今回の山行の楽しみのひとつは、この月山を葉山から展望することでした。期待通り尾根からはうっすらと冠雪した月山の頂と東斜面がくっきり見えます。春や夏に、この東斜面をスキーで滑り降りたり、山頂を目指したりした記憶を思い出しながら、その山を眺めるのもおつなものです。


 後半は、引き続き「家族信託」について別の事例をお話ししてみたいと思います。その前に、前回の復習です。不動産を信託に供すると、登記名義が受託者(家族)に変わり、受益者に信託受益権が発生し、委託者が受益者と同一である場合は贈与税の課税はなく、その信託に供した不動産を受託者(家族)に管理させることができることをお話ししました。
 ところで、信託に供することができる財産は、不動産に限らず預貯金や有価証券、果てはペット(動産)までも可能です。また、自宅の土地や建物のように収入を生まない不動産でも信託に供することができます。自宅を信託に供しておけば、委託者が病気や認知症で正常な判断ができなくなった場合でも、受託者は信託財産の管理運用を信託契約に基づき受託者の判断で行えるので、受託者である妻や子がその自宅を管理運用していくことによりご本人だけでなく、同居している他の家族も安心して暮らしていくことが可能です。この場合、委託者がお亡くなりになった際には、その信託受益権(この場合は自宅の土地建物の時価)が相続の対象となりますので、信託契約において、委託者が死亡した場合には信託契約が終了し、その信託財産を受託者に帰属するようにしておくと、遺言書が無くとも受託者である同居している妻や子に承継されることになります。
 もうひとつは、子どもがいない夫婦の相続対策について。夫には弟がいて妻が亡くなった後は、この弟に先祖代々の土地や財産を承継させたい場合の家族信託の活用事例です。この場合は、先ず信託契約において弟を受託者、受益者を自分にします。そして、自分が亡くなった後は、妻を受益者とする信託契約とします。そうすることにより、妻は夫の死後も信託財産から生じる利益を受けることができ、経済的には安心して暮らしていくことができます。同時に、将来妻が亡くなった場合は信託が終了するように定めておき、信託の残余財産の帰属先を弟に指定しておきます。このような家族信託契約を締結しておくことにより、自分の死後も妻の生活を保障しつつ、最終的には先祖伝来の財産を妻の家系の方ではなく、自分の血の繋がった親族へ確実に承継させることができるようになります。

 他にも様々な信託の活用法が考えられますが、機会があればまたご紹介してまいります。
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