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その66(りらく2016年8月号)
山小屋に向かってダウンヒル

 山の緑が日に日に濃くなる入梅前の6月初旬。山形県との県境近く、笹谷峠付近の渓流へ釣行しました。今年は例年になく雪が少なかったのですが、それでも、笹谷峠に続く旧笹谷街道は、雪が自然に解けるまでは通行不能で、6月にならないと車は入れません。逆に言うと、それまでは入山する釣人も比較的少なく、この時期が狙い目なのです。案の定、少々家を出るのが遅かったものの、未だその渓流には誰も来ていませんでした。早速身支度を整え、釣りの準備に取り掛かります。

山小屋からの眺め このところ、熊と人間が遭遇するトラブルが例年より多く発生しているので、熊鈴、熊撃退スプレー、ホイッスル等の装備を欠かすことはできません。
以前は本州に生息するツキノワ熊は、人間を襲わないと言われていたのですが、最近は、そのようなことはなく、不幸にも熊に襲われて亡くなられる方も出てきています。原因は、人間の方にあると私は見ています。山に持ち込んだお弁当の残りや飲みかけの飲料が平気で山の中や渓流に捨てられ、それを食べた熊が人間の匂いの付いた食べ物に餌付けされてしまったのでしょう。逆に人間に触られ人間の匂いの付いた小鹿を親鹿が子育て放棄するという、痛ましい事例も出ているそうです。

お地蔵さんとカタクリ 最小限度のマナーとして、山や渓流に持ち込んだものは、一切捨てないで、自宅に持ち帰るようにしたいものです。山中に捨てられたゴミは、誰も回収してはくれません。食べ残しのお弁当や飲料は、いずれ熊やサルの餌となり、これらの動物達は知らないうちに餌付けされてしまうのです。山は私達の大切な水道の水源でもあり、ゴミ捨て場ではありません。
さて、釣果の方ですが、冬のうちに巻いていた自作のフライ(毛鉤)に次々と岩魚がヒット。幸い、熊にも出会わずに無事家に帰ることができました。ブナの原生林に覆われ、清流が流れるふるさとの山を、これからも大切にしていきたいものです。


 ところで、後半は前回ご紹介した一定の空き家を売却した場合の3千万円控除の特例についての留意点です。
この特例を受けるための七つの要件に関しては、前回ご紹介いたしました。その一つに「亡くなられた方がそれまで一人暮らしをしていた自宅であること」という要件があるのですが、この点について、今回は少し詳しくお話ししたいと思います。
高齢者の場合、ご自宅で一人で暮らせなくなると、有料老人ホームや特別養護老人ホームに入居するといったケースが出てきますが、これらの施設に入居されていて、そこでお亡くなりになった場合には、住民票の住所がご自宅であっても、この3千万円控除の特例が適用とならなくなりますので注意が必要です。これは「所有者の方が亡くなられる直前までそのご自宅で生活していたこと」が、この特例の要件となっているためです。したがって生活の本拠が実態として老人ホームとなっていて、そこでお亡くなりになった場合は、この特例は適用にならないのです。
一方、他の介護施設の場合はどうなるのでしょうか? たとえばショートステイ先や、病気を発症されて入院中の病院でお亡くなりになった場合は、生活の本拠はあくまでもご自宅のままですので、この特例が適用されることになります。
なお、老人ホームに移られ、その後の生活の本拠がご自宅以外の場所となった場合でも、その移転の日から3年以内にご本人がご存命中にご自宅を売却すれば、上記の空き家特例ではなく、居住用財産の譲渡の特例(同じ3千万円控除)が適用されます。老人ホーム等に入居される際には、その後空き家となるご自宅をどうされるのか、予め検討されておくことをお勧めします。

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