sp
その77(りらく2017年8月号)
青と緑と白のコントラスト

 スキーはウィンタースポーツと思われがちですが、私は、ほぼ一年を通して楽しんでいます。
東北の山は、標高が2千メートル前後しかありませんが、冬になりますと特に月山や鳥海山などの日本海側の山々には膨大な量の雪が降り積もり、融けても融けても、雪渓として残り続け、夏でも、場合によっては秋になってもスキーができるのです。月山のスキー場は、だいたい7月いっぱいは滑ることができます。

ブナのツリーホール 8月になるとさすがにスキー場周辺の雪はなくなってしまいますが、更にその上まで登っていくと未だ雪渓が残っていてスキーやスノーボーダーが滑りを楽しんでいます。そこにはリフトはありませんので、滑り降りたら自分の足で登り返さなければならないのですが、それも厭わないほど好きな方が楽しんでいるのです。(なお、雪渓でのスキーやスノーボードは、自然環境に対する配慮と相応の登山の知識や技術が必要です。)
街の緑が日ごとに濃くなっていく5月下旬、月山にスキーを担いで行ってみました。ゴールデンウィークの頃は、未だ冬の装いですが、それが過ぎるとようやくブナの芽吹きが始まって麓の方から新緑の季節が進んできます。それでも半端でなく降り積もった雪は融けずに残っていて、新緑のブナの森でスキーを楽しむことができます。

天然のゲレンデ 青空の下、ブナの緑と雪の斜面が眩しいくらいに輝いています。芽吹きとともに割れ落ちたブナの冬芽が雪面に散らばっていて、冬から初夏へ一気に季節が変わったことを教えてくれます。お天気さえよければ、もう分厚い冬の服を纏う必要もありません。薄手のシャツ一枚で軽快な滑りを楽しみました。


 変わって、高齢者の方の財産管理についてのお話です。今回は、任意後見制度についてご紹介しましょう。
任意後見制度は、平成12年にできた制度で、前回ご紹介した法定後見制度を補完するものです。法定後見制度は、すでに判断能力が極めて低下した人のための制度で、親族等が家庭裁判所に申し立て法定後見人を選任してもらい、法定後見人が被後見人の身上監護や財産管理を行います。
一方、任意後見制度は、将来ご自分の判断能力が低下した場合に備えて、予め自分自身で後見人を選んでおける制度で、法定後見制度とは違ってご自分の意志が反映される点が特徴です。任意後見人を選んでおくと、将来の生活に対する様々な不安を軽減することができます。
この制度では、被後見人の医療、介護、財産管理などの契約やその手続き、預貯金の収支管理などを任意後見人に依頼することができます。また、認知症の配偶者や精神疾患のある子どもさんなど、面倒を見なければならない家族がおられる場合、将来ご自分の判断能力が低下すると、その家族の面倒を見ることができなくなるうえに、それを他の方に依頼することすらできなくなってしまうという事態が予想されます。任意後見制度では、家族の後見開始の申し立てを、予めご自身の任意後見契約に盛り込んでおくことができるので、この点でも将来に対する不安を軽減することができます。
このように、任意後見制度は大変ありがたい制度ですが、利用するうえでもっとも大切なポイントは、誰を任意後見人に選ぶかということです。任意後見人に資格の制限はあまりなく、家族や友人、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。任意後見人を依頼できる方が身近にいない場合は、自治体の社会福祉課や介護・福祉施設のネットワークなどに相談し、相応しい方を紹介してもらうことも可能です。
次回は、任意後見制度についてもう少し詳しくご紹介したいと思います。

sp