sp
その96(りらく2019年3月号)
尾根沿いのルート

 2月の初め、泉ヶ岳山中で毎年恒例の雪中キャンプをしてきました。冬としては一番寒い頃で、この時期は大雪が降ることがよくあるのですが、それだけに他の季節では味わえない格別な時間を過ごすことができます。もちろん、厳冬期ですから装備もそれなりのものを用意することになります。シュラフは冬用のものですし、テントが風で飛ばされることもあるので、スノースコップは必需品です。ビバークするとなれば、スコップで雪洞を掘って、一晩雪の中で寒さに耐えなければなりません。

ブナの森 今回のパーティーは5名で、例年になく参加者が多く、大雪が降ってもラッセル(降り積もった雪をかき分けて歩くこと)要員としては十分だったのですが、今季はあまり雪が積もっていなかったようで、少々拍子抜けの出だしとなりました。それでも、途中からブナの林に入ると、膝下位までの深雪となり、私はじめスキーをはいたメンバーが先頭を取ってラッセルし、大いにスキーの威力を発揮したのでした。

七ツ森 目指す北泉ヶ岳山麓のブナ林に覆われた目的地に到着すると、先ずは雪を掘って焚火の用意です。周辺にある立ち枯れた広葉樹や倒木等を、持参したノコギリでカットして薪にします。焚火で暖を取りながら、お互い持ち寄った食材を分け合い、お酒を酌み交わし、真冬のキャンプを大いに楽しんだのでした。


 変わって、昨年改正された民法相続編についてのお話です。前回は、改正された主な項目をご紹介しましたが、今回はその内、今年の1月13日から施行されている自筆の遺言書についての改正点をお話ししてみたいと思います。
 遺言書には、自筆による自筆証書遺言の他に、公証人のお墨付きによる公正証書遺言や秘密証書遺言があります。相続の業務で日頃私が目にすることが多いのは、自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類です。
 自筆証書遺言は、遺言者自身が、遺言の全文・日付・氏名を自書し、押印をすることで、遺言書としての法的な効力を発揮することになります。遺言が、例えば「妻の〇〇に全ての遺産を相続させる」というような、簡潔な内容であればあまり問題がないのですが、複数の方に夫々少なくない種類の財産を分けて遺贈したり、債務があったりして、遺言の内容が複雑である場合は、かなり面倒な作業となります。また、遺言書に記載された不動産の種類や所在地番が法務局に登記されている内容と一致していませんと、その部分に関しては無効となってしまうといった問題もあります。
 この度の民法の改正により、日付や遺言者の氏名以外の遺産の特定に関しては、自筆ではなく、パソコンなど機械で印刷したものでも法的に有効となりました。例えば、遺言する遺産の明細は他の方に依頼して作成してもらったり、不動産に関しましては税理士や司法書士等の専門家に依頼して作成してもらったりすることも可能となりました。なお、自筆でない遺言書のページには、その一枚ごとに遺言者自身による自署と押印が必要となります。

sp