梅雨入り前の6月最初の土日、小屋泊まりで月山へスキーツアーに行って参りました。この時期になりますとスキーツアーが楽しめる東北の山は、月山の他、鳥海山や八甲田山など限られた山域になります。今回は、月山の東側の「大雪城」と呼ばれる広大な雪の斜面を滑るのが目的です。お天気にさえ恵まれれば、スケールの大きな眺望と誰も滑った跡のない広大な斜面を滑ることができます。
メンバーは、私とテレマークスキー仲間のAさん2人のパーティです。月山スキー場の西側の姥沢からスタートし、月山の頂上(標高1984メートル)を目指します。頂上を過ぎますと、その南東には期待通りの真っ白な雪の大斜面が広がっていました。ここから、標高1300メートル程の清川行人小屋を目指し、スキーで豪快に滑り降ります。あまりに広い斜面ですので、時々停まりながらコンパスで方向を確かめなければなりません。しばらく目指す方向へスキーを滑らせていくと、やがて眼下に山小屋の赤い屋根が見えてきました。そして、一息入れ、小屋まで一気に滑り降りたのでした。
さて、前2回にわたり、昨年の民法改正により創設された「配偶者居住権」の内容をお話しして参りましたが、今回の民法改正では、さらにもう一つ配偶者に配慮した改正が行われました。
それは、婚姻期間が20年以上になる配偶者が、生前に他方の配偶者からその自宅を贈与により取得していた場合、その後その贈与を行った配偶者の相続に際しては、生前贈与していた自宅(土地及び建物)に関して、遺産分割の際の相続分の取り分に影響させないものとするという規定です。これまでの民法の規定では、遺産の具体的な取り分は、相続人の内に生前に被相続人から贈与を受けた財産がある場合には、その生前贈与財産も考慮し、生前に多くの財産の贈与を受けた相続人は、配偶者を含め、その分は具体的な相続分から控除することとしていました。
例えば亡くなった夫の法定相続人が妻(法定相続分1/2)と子ども1人(法定相続分1/2)というケースで、夫に相続が開始した時点での遺産の額が1千万円あり、生前夫から妻へ時価2千万円のご自宅の贈与を行っていた場合、改正前の規定では、生存配偶者である妻の民法上の取り分は、次の通りとなります。
〔1千万円(遺産額)+2千万円(妻が受けた生前贈与財産)〕×1/2(妻の法定相続分割合)-2千万円(妻が受けた生前贈与財産)=△500万円となり、具体的な相続分の額がマイナスとなりますので、妻は遺産1千万円に関しては、1円も取り分がないことになります。
これではせっかく夫が生前、妻に対する感謝を込めて自宅を贈与したのに、その事が原因で老後の生活資金を得ることができなくなってしまう事態になりかねません。そこで、今回の改正では、配偶者である妻が夫から生前に贈与により取得した自宅(土地及び建物)に関しては、具体的な相続分の計算上考慮せず、1千万円(遺産の額)×1/2(妻の法定相続分)=500万円が妻の具体的な相続分となるように改められました。なお、この規定は本年7月1日より施行となっています。