お盆休みを利用して鳥海山へ行って参りました。毎年恒例となっているのですが、鳥海山の南斜面にある「心字雪渓」でスキーをするのが目的です。「この時期にスキーができるなんて本当?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、鳥海山の上部には冬に降った雪が秋口まで雪渓となって残っており、そこでスキーができるのです。もっとも、雪渓ですので、スプーンカットという波打った硬い斜面となっており、スキーで滑るにはそれなりの技術が必要です。
「心字雪渓」の由来は、この時期に中腹にある河原宿と呼ばれる山小屋から鳥海山を眺めると、外輪山の直下に点在する雪渓群が、ちょうど漢字の「心」の文字のように見えることからそう呼ばれるようになったものです。ここでスキーをするためには、登山口から雪渓までスキーブーツを入れたザックの両脇にスキーの板を括りつけて登山道を登らなければなりません。当日は朝から晴天に恵まれ、登りはじめから体中に汗が吹き出します。八丁坂と呼ばれる急な登山道を何とか登りきると、河原宿の山小屋跡に辿り着きます。ここで頂上付近の方角に目を向けると、今年も「心字雪渓」が見えました。青空の下、緑色の山の斜面にくっきりと「心」の文字が展開していました。
河原宿で一休みして、さらに上を目指します。最初の雪渓に足を踏み入れると、斜面を渡るひんやりとした風が汗ばんだ体を心地よく通り過ぎていきます。雪渓沿いにはニッコウキスゲの群落も丁度見頃を迎えていました。雪渓の最上部に到達して振り返れば、遥か雲海の彼方に月山も見えます。一息入れてスキーブーツに履き替え、雲上の夏スキーを堪能したのでした。