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その126(りらく2021年9月号)

 今年は梅雨が明けるのが例年よりも早く、これ幸いと7月の下旬、鳥海山で夏スキーを楽しんでまいりました。鳥海山は、山形県と秋田県にまたがる標高2236メートルの高山です。中腹の標高1600メートル付近では、夏でも大きな雪渓が残っており、スキーを楽しむことができます。もちろん、リフト等はありませんので、下からスキーの板とブーツを背負い、登山道と雪渓を自分の足で登って行かなければなりません。

 当日は、朝から青空が広がり、雄大な鳥海山の頂上まで見渡せる好天に恵まれました。登山道の周辺では、ちょうど見頃を迎えた山百合やニッコウキスゲ等の夏の高山植物が咲いていて、背中の荷物の重さも忘れさせてくれるほどの可憐さです。

新雪に覆われた鳥海山残っていた先シーズンの雪渓
 ようやく目指す外輪山直下の標高1700メート余りの雪渓に辿り着きました。そこは下界とは異なり、雪面を渡る涼風が吹く別世界です。ひと息入れてザックからスキーブーツを取り出しスキーの板を履いて、滑るのに適当な斜面を探します。この時期になりますと、斜面はガリガリの硬い雪面となっていて、しかもスプーンカットといって波を打ったような凸凹状態です。斜面はそれほど急ではないのですが、うまく板をコントロールしませんと凸凹に翻弄され、転んで怪我をしかねません。

 何とか凸凹が少ない斜面を見つけて滑り出しましたが、それでも板がバタつくのを抑えるのにひと苦労です。次第に慣れてきて、板のバイブレーションをモノともせず10ターンほど連続で滑ることができ、晴天下の夏スキーを堪能しました。

Myシュプール滑走を終えて


 前回まで生前贈与とその後に発生する相続の際の、民法における生前贈与財産の取扱いについてお話しいたしました。今回は、生前贈与と相続税の関係についてお話ししてみたいと思います。
 まず相続税ですが、これは相続が発生した時点における、その亡くなられた方(=被相続人)の遺産(=相続財産)に対して課税される税金です。相続税は、1円からかかるのではなく、遺産の総額が相続税の基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に、その超えた部分に対して課税されます。したがいまして、遺産の総額が相続税の基礎控除額以下である場合は、相続税は課税されず、相続税の申告をする義務も生じません。
 そこで、現時点で相続税の基礎控除額を超える財産をお持ちの方は、お元気なうちに配偶者や、子や孫等に生前贈与しておけばその分だけ遺産の額を減らすことが可能になる訳です。生前贈与が相続税対策の基本といわれている所以です。いずれ相続で承継されるであろう財産を予め誰にどれだけ承継させるか、ご自分の意志で決めることができる点で生前贈与は遺言と同じ効果がありますが、遺言はご自分が亡くなった後でないと実現しない点で生前贈与とは異なっています。

 ただし、生前贈与に対しては、原則として贈与税が課税されますので注意が必要です。なお、贈与税に関しては、贈与税の基礎控除額が年額110万円とされており、この基礎控除額を超えると贈与税が課税されることになります。次回からは、この生前贈与を活用した相続税の様々な節税方法をご紹介したいと思います。
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