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その135(りらく2022年6月号)

 ゴールデンウィーク前の4月下旬、仙台市近郊の里山を流れる渓流に釣行しました。積もっていた雪もすっかり消えて、渓流沿いにはスミレやシラネアオイの花々が咲き乱れていました。それらを愛でながらイワナがいるポイントを探っていきます。釣りのタックルは、フライ(毛バリ)です。
 何投目かで、流していたフライが突然水面から消えました。一呼吸おいて竿を立てると、ラインがピンと伸びて竿がしなり穂先が小刻みに震えています。久しぶりの感覚に頭の中が空っぽになります。引き寄せると元気なメスのイワナがしっかりとフライを咥えていました。渓流釣りはこれからがシーズン本番、幸先の良いスタートとなりました。

キャンプ道具一式を背負ってテントの中でモーニングコーヒー
パウダースノーを満喫パウダースノーを満喫


 前回は、オシドリ贈与が配偶者以外の相続人の相続税の節税効果があることをお話ししました。このオシドリ贈与は、生存配偶者の遺産の分割協議や遺留分対策上も有効です。それは、配偶者以外に相続人がいる場合、オシドリ贈与により生前に取得した財産に関しては、民法の規定による「特別受益額の持戻し」の対象から除外されるという点です。
 遺産の分割に際しては、相続開始時点での遺産だけではなく、被相続人が生前に相続人に贈与した財産も含めて、その取り分を計算することになっています。法定相続人が配偶者と子ども2人の場合、遺産分割に際しての法定相続分は、配偶者は1/2、子どもはそれぞれ1/4とされていますが、実際に相続できる遺産の額は、相続が発生した時点で被相続人が持っていた遺産だけではなく、生前に被相続人から贈与を受けた財産も含めて計算することになっているのです。これを特別受益額の持戻しといいます。
 例えば、遺産の額が3千万円で、他に生前に被相続人から贈与を受けた金額(特別受益額)が、配偶者1千万円、子A500万円である場合、各自の具体的相続分(実際の遺産の取り分額)は以下の通りとなります。
 先ず、遺産の額3千万円に被相続人から生前に贈与を受けた財産(特別受益額)である、配偶者1千万円と子Aの500万円を加算します(特別受益額の持戻しといいます。遺産の額にこの特別受益額を加算した金額に各相続人の法定相続分を乗じ、その金額からその相続人が受けた特別受益額を控除したものが、その法定相続人が相続できる遺産の額(これを具体的相続分といいます)となります。実際に具体的相続分を計算すると以下の通りとなります。
配偶者:(3千万円+1千万円+500万円)×1/2-1千万円=1250万円
子A:(3千万円+1千万円+500万円)×1/2-500万円=1750万円
 ところが、配偶者の特別受益の1千万円が居住用財産の贈与であった場合は、この持戻しは必要ありません。この場合の具体的相続分は次の通りとなります。
配偶者:(3千万円+500万円)×1/2=1750万円
子A:(3千万円+500万円)×1/2-500万円=1250万円

 以上の通り、配偶者への生前贈与財産を居住用財産とすることにより、他の財産を贈与する場合に比べ、配偶者の具体的相続分が500万円増えることになりました。配偶者への居住用財産(その配偶者が実際に居住するものに限ります)の贈与は、相続税の軽減だけでなく、その後の相続に際して遺産分割協議の際の配偶者の取り分を増やせるという点でもメリットがある訳です。
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