お正月休みを利用して月山に行ってまいりました。この時期は、夏スキーで知られる月山スキー場も未だオープンしておらず、バックカントリー用のスキーにシールを取り付けて、麓から自分の足で登らなければなりません。暖冬で東北のスキー場でさえ雪不足となっていますが、月山にはたっぷりと雪が降り積もっていました。
月山の麓、標高700メートルの志津温泉の先から月山スキー場の手前に位置する標高1100メートルの姥沢駐車場を目指します。この辺り一帯は、ブナの原生林の斜面が続いています。前の晩にたっぷりと降り積もった新雪をラッセルしながら、ブナの林を登って行きます。時折、遠くの方から風の音が聞こえてきますが、森の中は至って静かです。帰途は、シールを外し、お待ちかねの滑走です。ブナの巨木の間を縫うように滑り降り、パウダースノーを満喫したのでした。
前回に続いて生前贈与のお話です。前回は金の地金という高価な財産の生前贈与に関し、贈与を行った日がいつであったかについて納税者と税務当局の間で争われた裁判事例をご紹介いたしました。
不動産や現金等に関しては、不動産登記や預金通帳に記録することで贈与が行われた日を明確にすることができますが、金の地金やダイヤモンドなどの宝石類、書画骨董等は、贈与契約書を作成して贈与が行われた日付を具体的に記載しておくことが大切です。また、贈与契約書を作成しておけば、贈与者及び受贈者(贈与を受けた方)以外の第三者に対する証明になるという点も大きなメリットです。
次の事例も相続税の調査で判明した生前贈与に関するものです。相続税の申告が終わって数年後に税務調査があり、調査の結果、被相続人である夫名義の預金口座から、その生前に妻名義の預金口座に移動した分が妻に対する貸付金であるとして相続税が追徴された事例です。
相続税の税務調査の際には、必ずと言っても良いほど被相続人以外の家族の預金に関しても過去数年間にさかのぼって詳細に調査されることになります。この事例では、妻名義の預金に関して、毎年数度にわたって夫の預金口座から数十万円から百万円以上のお金が送金されており、その結果、過去10年間で1千万円以上妻名義の預金が増加していました。
税務署の調査官の質問に対し、妻は「これは夫からもらったのではなく単に預かっていただけ」と回答したところ、贈与でなければ、夫の財産を預かっているだけなので名義預金であるとして相続税の課税対象になると指摘され、相続税が追徴される結果となってしまいました。夫からの預り金であれば、贈与ではないので贈与税の時効にも該当しませんので、その10年の間に夫から送金されて増加した預金の全額が相続税の修正申告の対象となってしまいました。
夫の収入で生計を立てている夫婦間では、生活費を夫から預かって妻がその生活費等の支払いを行うということは広く行われていることですが、生活費以上のお金が夫から妻に渡って、それが妻名義の預金口座に残高として残り、かつ、年々増加しているというような場合は、それが夫から贈与を受けたものなのかそうでないのかに関して日ごろから明確にしておくことが大切です。贈与であれば贈与契約書を交わして、夫から預かったものではないということを明確にしておく必要があります。