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その159(りらく2024年6月号)

 桜の季節が終わって、5月に入りますと、渓流釣り、それも毛バリを使ったフライフィッシングの季節です。渓流に棲むイワナやヤマメ等の渓魚が食しているのは、主に上流から流れてくる水生昆虫や蛾の幼虫等で、これを水中で捕食しているのですが、新緑の季節になりますと、これらは成虫となって川面に浮かんで流れてきたり、産卵のため水面すれすれに飛んだりするようになります。すると、魚たちは水面に出て盛んに捕食するようになります。これを「ライズ」と言うのですが、毛バリ(フライ)を水面に浮かせてこのライズしてくるイワナやヤマメを狙うわけです。
 私が使うフライは、主にトビケラ(カディス)やカゲロウ(メイフライ)、蚊(モスキート)等を模したものです。その渓流で魚たちが何を食しているのか、飛んでいる虫を観察してその日に使うフライを選択します。そして、フライは自分で作ったものを使います。材料は、鳥の羽根や動物の獣毛等です。これらのマテリアルを針に巻き付けると、あら不思議、渓魚の餌となるカゲロウやトビケラに似た毛バリが出来上がります。自分で作ったオリジナルのフライを使って竿を振り、うまく渓魚が居そうなポイントにフライを飛ばし、ライズしてくる渓魚がこれを捕食する瞬間は、何とも言えない気分です。そして、一呼吸おいて竿を立てれば、フライの針が渓魚の口元にフッキングし、その手応えが竿を握っている腕に伝わってきます。この一連のやり取りがフライフィッシングの大きな魅力です。
 今年のゴールデンウィークはお天気にも恵まれ、新緑の渓流でイワナやヤマメたちとのやり取りを存分に楽しんだのでした。

カディスにヒットしたイワナ 新緑の渓流
カディス(トビケラ) ピーコック(孔雀)フライ


 話は変わって、生前贈与のお話です。前回は、土地や建物等の不動産を生前贈与する際の贈与契約書の記載方法についてご紹介いたしました。今回はその続きです。不動産の贈与をおこないますと、その不動産の贈与を受けた方(「受贈者」といいます)に対して、贈与税が課税されることになります(贈与財産の不動産の相続税評価額が110万円の贈与税の基礎控除以下の場合は、贈与税はかかりません)。さらに、贈与税の他、贈与を受けた不動産の名義を受贈者の名義に変更する(これを所有権移転登記といいます)際には不動産登記の手続きが必要となり、登記手数料の他登録免許税(移転登記する不動産の固定資産税評価額の2%相当額)が課税され、不動産の所有権移転登記が完了すると、今度は、不動産取得税(固定資産税評価額の3%相当額ですが、住宅家屋やその敷地に関しましては軽減措置があります)が課税されることになります。
 以上の通り、土地や建物等の不動産の贈与に関しては、贈与税の他、さまざまな税金や費用が発生することに留意しなければなりません。したがいまして、特段のことがない限り、不動産を生前に贈与することは、通常はコスト負担の観点からあまりメリットがないと言えるでしょう。
 では、どのような場合に不動産を生前贈与することのメリットがあるのでしょうか? 一つは、夫婦間で行う居住用不動産の贈与、いわゆるオシドリ贈与です。たとえば、夫婦で住んでいるご自宅の建物やその敷地が夫(あるいは妻)の名義である場合、これを妻(あるいは夫)に生前贈与すると相続税評価額で2000万円までの贈与に関しては、贈与税がかかりません。次回は、このオシドリ贈与の活用方法について少し詳しくご紹介したいと思います。

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