前回渓流釣りのお話をしましたが、今回は中でもひときわアクティブな釣りとされるフライフィッシングについて。渓流釣りは、エサ釣りの他に小魚を模した擬餌針を使うルアーフィッシングやこれからご紹介するフライフィッシング等、いろいろな釣り方があります。フライフィッシングは、前回ご紹介した水棲昆虫や小さな蛾等、渓流魚のエサとなる小さな昆虫達を模した擬餌針(これをフライと言います)で魚を誘い釣り上げます。
フライには多くの種類がありますが、特に人気が高いのが水面に浮くように作られたドライフライです。うまく流れに乗せて水面を漂わせ、水中に潜む魚を誘い出し、食いついたところを釣り上げます。魚が水面下から浮上してきてドライフライに飛びつくまでの一部始終を自分の眼で見ることができるので、「眼で釣る釣り」とも言われています。魚の方はくわえた瞬間、偽物と見破り離してしまうことがあります。飛びついた瞬間にライン(釣り糸)を引いて魚を針にかけないと逃げられてしまいます。その一瞬のタイミングを逃さないよう全神経をフライに集中させなければなりません。
フライフィッシングには、3メートルに届くか届かないかの短かめで柔らかく華奢な釣り竿を使います。これを鞭のように操って、1グラムもあるかないかの極めて軽いフライを10メートル以上も遠くへ飛ばします。何故そんなに飛ぶのか不思議でしたが、人間が作った偽物の虫に、とても警戒心の強い渓流魚が果たして本当に食いつくのか、フライフィッシングを始めた頃は半信半疑でした。
ところで、このフライは自作することができます。最小限度の道具と材料(専用の釣り針と鶏の羽根や鹿の毛等)さえ手に入れば、出来映えはさておき初心者でもオリジナルのフライを作ることができます。私も最近は自作のフライで岩魚や山女を釣っています。ネイティブな渓流魚が水面を割って「バシャッ」と水音まで立てて飛びつく瞬間は、得も言われぬ感動を与えてくれます。
さて税金のお話しですが、こちらも引き続き贈与に関する話題です。前回は、お金や物品を他の人に贈与すると受贈者(もらったほうの方)に対して贈与税が課税される場合があるというお話しをいたしました。また、受贈者一人当たり年間110万円の贈与税の基礎控除があるということもお話ししました。
私の知るところでは、親子間や夫婦間で金銭の贈与を行う例が最近増えているようです。自分の子供達が住宅を取得する際の資金や自分が亡くなった後の妻の老後の生活資金の確保として、はたまた将来の相続税対策としてなど、その動機は様々ですが、自分が亡くなる前に自らの意志で配偶者や次の世代の肉親に贈与しようとお考えになられている年配の方が多くなっており、私のような税金の専門家に対する相談が増えています。
2011年度版の高齢社会白書(厚生労働省)によりますと、65歳以上の高齢者世帯の平均貯蓄額は2,300万円とのことで、確かにお年寄りの方のほうがお金持ちの時代です。これに対して若い世代は、低成長下の大変厳しい経済環境の中で住宅の取得や子供の教育費等資金的な問題を抱えている方も少なくありません。
贈与税に関しては、贈与税の基礎控除の他、親から子に対する住宅取得資金の贈与の非課税特例や20年以上婚姻期間のある夫婦間での居住用財産に関する贈与税の税額控除の規定等、様々な特例が設けられています。これらの税制の優遇措置を利用して世代間や夫婦間での財産の移転が行われており、お金が全てではありませんがこれからの時代は金銭面でも世代間で協力し合って仲良く暮らしていくことがとても大切なことだと感ずるこの頃です。次回も引き続きこの贈与と税金に関するお話しをしてみたいと思います。